■ 持続可能な生産と消費のために
「たべること」は「いきること」。
「食べること」は私たちが健康に生きていくために欠かすことができない「大切」な営みです。食べることの大切さや食文化、食べ物の成り立ちを生産者と交流しながら次世代へ伝えていくことを目指して、食育「たべる、たいせつ」を広げています。
食について学び、生きる力を育みましょう。
旬をいただきま~す!!香り豊かな生しいたけ
協力:農事組合法人 長生産直
実りの秋に旬をむかえる「シイタケ」。今回は19歳で就農してから50年近くシイタケを作り続けている(農)長生産直の生産者の中田 光一(なかだ こういち)さんにお話を伺いました。
菌床栽培と原木栽培
シイタケの栽培方法には、天然の木を使った原木栽培と、おがくずなどを用いて人工的に育てられた菌床を使った菌床栽培があります。
菌床栽培で「おいしさ」に挑戦
中田 光一さん
「肉厚でおいしいシイタケを生産したい」と、それまで先代が続けていた原木栽培から、当時めずらしかった菌床栽培に積極的に挑戦してきた中田さん。「40年以上前はまだ情報が少なく、シイタケの発生がうまくいかないなど失敗はたくさんありましたが、試行錯誤の結果、今では安定的に生産できるようになりました。組合員さんからの『おいしい』との声を力に、こだわりや工夫を持って育てています」と中田さん。
シイタケができるまで こだわりと工夫
■菌床作り
おがくずに、米ぬかとふすま(麦の皮)と水分を加え混ぜ合わせ、袋に詰め殺菌釜に入れる。その後シイタケ菌を接種し菌床を作る。
放射能検査済みの国産の原木のおがくず
おがくず、米ぬか、ふすまと水分を混ぜ合わる機械
混ぜ合わせたものを袋詰め
シイタケ菌を接種
雑菌を入れないことがポイント
安全・安心なものをお届けするため、おがくずは放射能検査済みの国産の原木のものを使用。袋に詰めたものは充分に殺菌し、シイタケ菌の接種なども雑菌が入らないよう細心の注意を払っています。
※取材当日は、仕込みは終了。通常は帽子、マスク、作業服を着用しています。
■培養
湿度や温度が適切に管理された培養室で菌床を熟成させる。その間に一つ一つ袋の向きを変えて、菌床から出た水を捨て熟成させ、シイタケの基になるものを作る。
培養室の棚に詰まれている、袋詰めされた菌床
菌床に広がる真っ白な菌糸
活動する菌によって水が出ている袋
室温がポイント
培養はシイタケを発生させるのに大切な工程です。シイタケに最適な室温管理をしています。
■発生
袋の上だけを開け、脇からシイタケの芽が出ないように上面栽培を行う。芽を出すために上面に湯を散布し、一つずつ素手で軽く叩いて刺激をあたえる。1週間から10日で収穫期になり、1日朝夕2回にわけて収穫。
菌床の上面からにょきにょき発生するシイタケ
良い状態のシイタケを見極めて収穫
経験がポイント
シイタケの芽を出すための刺激は叩き具合が大切です。この作業だけはほかの人には任せられません。こまめに不要な芽を芽かきして、傘が大きくて丸く軸が太いシイタケを見極めて収穫しています。
組合員の皆さんへのメッセージ
「コープの組合員さん(消費者)がいてくれるからこそ私たち生産者も農作物を生産できます。今後もその関係を大切にして、できるだけ長く農業を続けていきたいです。そのためにこれからも努力して、安全でおいしいシイタケを作ります。たくさん食べてくださいね」
左から妻の秀子さん、光一さん、息子の妻の亜紀さん
中田さんのシイタケは、長生産直の直売所「ひまわり」でも購入できます。
「長生産直 ひまわり」はこちらから
http://chousei-sanchoku.com/himawari.html
豆知識
●シイタケは、洗ってしまうと風味がなくなるので洗わなくてもOK。土が付いている部分はペーパーなどで拭き取る。
●1~2時間日光にあてるとうま味がアップ!
●保存するときは薄くスライスして冷凍庫へ。うま味と香りがそのまま保存できる。
編集後記
管理された菌床栽培の施設は何棟もあり、まるで工場の様です。工程順に中田さんから丁寧に説明をしていただき、まじめで熱心な人柄が印象的でした。