コープデリグループの福祉政策
~地域共生社会の実現に事業と活動を通じて貢献します~

  • 現在、地域社会では少子高齢化が進む中、高齢者の単独世帯や夫婦世帯が増加するとともに、介護や医療を要する人は増大しています。また、格差と貧困が大きな問題となり、地域・家庭・職場という人々の生活領域における支え合いの基盤が弱まってきており、孤立した人々も増加しています。

    一方、国際社会では「人間の安全保障」の考え方に基づき、2005年の世界サミットにおいて各国首脳は「すべての人々が、自由に、かつ尊厳を持って、貧困と絶望から解き放たれて生きる権利」を強調するとともに「すべての個人、特に脆弱な人々が、すべての権利を享受し、人間としての潜在力を十分に発展させるために、平等な機会を持ち、恐怖からの自由と欠乏からの自由を得る権利を有していることを」を確認しました。そして、2015年の国連サミットでは「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択され「誰ひとり取り残さない」世界の実現を目指して、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」をはじめとする目標が掲げられました。

    日本政府は「少子高齢・人口減少、地域社会の脆弱化等、社会構造の変化の中で、人々が様々な生活課題を抱えながらも住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、地域住民等が支え合い、一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていくことのできる」「地域共生社会」の実現に向けて「地域課題の解決力の強化」「地域丸ごとのつながりの強化」「地域を基盤とする包括的支援の強化」「専門人材の機能強化・最大活用」を骨格とした改革を進めています。

    そして日本生協連は、2020年6月の総会で「つながる力で未来をつくる-CO・OP2020-日本の生協の2030年ビジョン」を策定し「安心してくらし続けられる地域社会~私たちは、生活インフラのひとつとして、地域になくてはならない存在となり、地域のネットワークの一翼を担います」と宣言しました。

    こうした中、地域に根ざした相互扶助(助け合い)の組織である生活協同組合には、誰もが“だんのらしをあわせに”営めるように助け合い、困り事を解決していく「福祉」の取り組みを強めていくことが求められています。

    コープデリグループは「CO・OP ともに はぐくむ くらしと未来」の理念に基づき、共通の福祉政策を策定し、ビジョン2035を実現していくため「福祉」の視点で事業と活動を着実に進めていきます。そのことを通じて地域にくらす人々が“命”と“くらし”と“尊厳”を共に支えあう「地域共生社会」の実現に貢献していきます。

    ⒈ さまざまな困難を抱える方の食とくらしを支えられるよう事業を進化させます

    ・高齢者や障がい者をはじめさまざまな困難を抱える方が生協を利用できるように「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」の考え方に基づき商品・サービスを改善し続けます。

    ・くらしをより幅広くサポートできるよう商品・サービスを充実させます。

    ① 高齢者がストレスなく宅配を利用できるように、商品カタログや注文用紙、インターネット注文の仕組みを改善し続けます。目の不自由な方の注文サポートに引き続き取り組みます。栄養バランスがとれたお弁当や手軽に調理できるミールキットなどを日々お届けするサービスを改善し広げます。

    ② 高齢者や障がい者がご利用しやすい店舗づくりに取り組みます。店舗のインフラを活用したさまざまな買い物支援のサービスを研究・実施します。

    ③ 誰もが安心して使うことができるデザインの商品の開発・品ぞろえを進めます。介護食や大人用衛生用品、乳幼児食、食物アレルギー対応食品などの品ぞろえを広げます。

    ④ ご高齢や子育て中、障がいのある組合員を宅配の配達手数料割引などを通じてサポートします。生活に欠かすことができない食品・日用雑貨などをより利用しやすい価格で提供できるよう努めます。

    ⑤ さまざまな組合員のくらしに合った保障を手頃な掛金(保険料)で実現する共済・保険をご案内できるようにします。

    ⑥ 掃除・料理などの家事代行や、住まいの片付け・リフォーム、補聴器など身体機能を補う用具の提供などのサービスを充実させます。

    ⑦ 職員は認知症をはじめとする加齢に伴う心身の変化や障がいについて学び、組合員に寄り添った対応ができるようにします。高齢者などとの契約や注文受付にあたっては、ご本人の理解力・判断力に応じて適切な配慮を行います。発行物やホームページなどでの表現は、人権尊重の観点から差別や偏見を助長したり固定的な考え方を押し付けることがないようにします。

    ⒉ 事業と活動を通じて誰もが安心してくらし続けられる地域社会づくりに貢献します

    ・「社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)」の理念に基づき、自治体や地域の住民・諸団体と連携して、誰もが安心してくらし続けられる地域社会づくりに貢献する取り組みを進めます。

    ・高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を営めるよう支援する地域包括ケアシステムの担い手としての役割を果たします。

    ① 介護事業の取り組みを通じて利用者の自立を支援する「生協10の基本ケア」に基づく介護サービスを広げます。地域福祉のさまざまな課題や国・自治体の施策・制度などについての学びを広げます。

    ② 生協の施設やオンラインツールも活用しながら、地域の組合員・住民が気軽に参加でき、生き生きとした活動・交流を通じてつながる場をつくります。「ICT との付き合い方」「健康づくり」「ライフプラン」「老い支度」「成年後見人制度・家族信託」などをテーマに、生涯を通じて生き生きとくらしていくために必要な学びの場をつくります。

    ③ 地域の高齢者、子育て家庭、障がい者、生活困窮者、外国人などの支援に自治体や地域団体などと協力関係を築きながら取り組みます。組合員の助け合い活動を通じて、高齢者支援、障がい者支援、子育て支援の輪を広げます。食の支援が必要な方々を支えるフードバンク・フードドライブや「子ども食堂」をはじめとする地域の居場所づくり(の支援)に取り組みます。生徒・学生の学びを支援する取り組みを進めます。自治体との「見守り協定」に基づき見守りネットワークに参加します。

    ④ 自治体や地域団体などと連携しながら防災・減災の取り組みを進めます。災害など困難な状況に置かれた人々・地域に対する募金をはじめとする支援活動に取り組みます。

       

    ⒊ 生協で働く一人一人の人権・多様性が尊重され、誰もが安心して働ける職場づくりを進めます

    ・働く一人一人の多様性(=ダイバーシティ)を認め、性別、年齢、国籍などが異なる職員が、それぞれの個性や能力に応じて活躍できるようにします。

    ・障害のある人もない人も、互いに支え合い、豊かにくらしていける社会を目指す「ノーマライゼーション」の考え方に基づき、誰もが生き生きと働くことができる職場をつくります。

    ① 年齢、性別、性自認、性的指向、民族、国籍、障害の有無、妊娠、育児の有無などに基づく差別および個人の尊厳を傷つける行為が行われないようにします。

    ② 障がい者をはじめ誰もが働きやすい職場づくりを進めます。多様な働き方に配慮した就労の仕組みをつくります。生協への就労を希望する障がい者を積極的vに受け入れ採用につなげます。障がい者を受け入れる職場の職員の理解を促進し、助け合える職場を目指します。

    ③ 出産・子育てや介護をしながら働き続けられるように支援制度や相談体制などを充実させるとともに、その利用を広げます。

    ④ がんや心の病など疾患を抱える職員の治療と仕事の両立を支えます。

    ⑤ シニア職員が働きがい、意欲を持って活躍できるように人事制度や業務の整備を進めます。