コープデリグループの環境政策
~持続可能な社会をめざして
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コープデリグループでは、理念に「CO・OP ともに はぐくむ くらしと未来」を掲げています。
ここには、人が自然と共生できる社会システム作りを通して、持続可能な社会を作り、次世代へ継承したいという願いを込めています。これは、国連で定めたSDGs(持続可能な開発目標)のめざす方向と重なるものです。以下では、この理念を実現するための、コープデリの環境政策の基本的な考え方をご案内します。
環境政策は、以下の二本の柱から組み立てています。
Ⅰ 商品利用を通じた持続可能な社会の実現への貢献
Ⅱ 省エネルギーと再生可能エネルギーの活用を通した地球温暖化防止
Ⅰ 商品利用を通じた持続可能な社会の実現への貢献
1.持続可能な農・畜・水産・林業の支援
(1) おいしく食べて、たのしく学び、地域から日本の農業・畜産業・水産業を応援します。
① 「つくる責任」「つかう責任」の双方の立場から、国産の食料を広めること、利用すること、そしておいしく食べることに取り組み、食料自給力を高めていきます。
② フードチェーンの一員として、地域の一員として、地域の食文化を大切にする、地域の農畜水産業を応援する地産地消に取り組みます。
③ フードチェーン全体で品質向上と低コストを意識した生産・加工・流通に取り組み、組合員ニーズにマッチした商品を、利用しやすい価格で提供します。
④ 食べものをつくることの大変さ、食べることの楽しさ・大切さについて、学び伝える取り組みを生産者・取引先・行政・他団体と協力しながら進めます。
⑤ 農業・農村体験、工場見学、生産者との交流会、料理教室など食の学び場と機会を広げます。
(2)環境に配慮した農業を応援します。
① 産地・生産者と協力しながら生産方法、生産時期、流通方法などの見直しを行い、農薬、化学肥料の使用量の抑制および省エネ型産業への転換を進めます。
② 有機JASの認証を受けた農産物および原料に使用した加工食品の開発と利用に取り組みます。
一定の基準で農薬や化学肥料を使用しないで作られた農産物とその製品です。
有機農産物、特別栽培農産物を「グリーン・プログラム」商品として表示します。
③ レインフォレスト・アライアンス認証(Rainforest Alliance)の商品の開発と利用に取り組みます。
農園の家族、野生生物、環境に利益をもたらす方法で栽培されています。マークに表示されているカエルは環境条件を知るための目安になる生物です。
④ 食品安全、環境保全、労働安全等を確保するための適正農業規範(GAP)の取り組みを支援します。
(3) 日本の米と田んぼを大切にします。
① 米の新品種の開発、米を主原料とした新たな商品の開発、米以外の生産および商品化など、生産者と協力しながら田んぼの有効活用を基本とした多様な方策にチャレンジします。
② 飼料用の米で育てた牛・豚・鶏肉や卵、米粉を使用した商品の開発と利用に取り組みます。フードチェーン全体で効率化を進め、おいしさと利用しやすい価格を追求します。
(4) 持続可能な水産資源の開発と利用を進めます。
① 日本近海の水産物の取り扱いを強め、食料自給力の向上に貢献します。日本近海の資源量が豊富な魚種を中心に利用を広げるとともに、未利用魚や廃棄される魚種の活用を進めます。
② 世界各国で持続可能な水産資源の開発・利用が進められています。日本および世界の漁業の現状と課題をわかりやすく伝え、水産資源についての知識と理解を広げます。
③ おいしく、手軽で食べやすい、簡単便利な魚料理の商品開発に取り組み、魚の利用を広げます。
④ 絶滅リスクが懸念されている魚種は、取引先と協働して原料までさかのぼり、生産・流通の各段階で資源・環境の保全に対し適切な対応がされていることを確認し、商品調達を行います。まぐろ・うなぎの資源増殖対策や完全養殖に向けた生産者・研究者との取り組みを進めます。
ニホンウナギは、国際自然保護連合(IUCN)および環境省が絶滅危惧種に指定しています。近年、年ごとの変動はありますが、ウナギの国内供給量や輸入量は減少傾向にあり、シラスウナギ(ウナギの稚魚)の採捕量も依然として低い水準のまま推移しています。
⑤ MSC(Marine Stewardship Council)、ASC(Aquaculture Stewardship Council)認証の商品の開発と利用に取り組みます。
水産の資源を枯渇させないよう、持続可能で環境に配慮した漁業でとられた水産製品です。
環境と社会に配慮した責任ある養殖場で生産された水産製品です。
⑥ MELジャパン(Marine Eco-Label Japan)認証の商品の開発と利用に取り組みます。
水産資源の継続的な利用を図るため、資源管理と生態系の保護を積極的に行っている漁業を応援する認証制度です。
(5) アニマルウェルフェアの取り組みを進めます。
① アニマルウェルフェアとは、家畜を日々観察・記録し、良質な飼料や水を与えて丁寧に飼育することで、ストレスを減らし、家畜の健康を維持する取り組みです。
② アニマルウェルフェアの考え方にのっとって生産された畜産物の取り扱いを進めます。
ふだんのくらしで当たり前のように食べている肉類は、牛・豚・鶏などの家畜(経済動物)です。牛乳・卵も牛や鶏が生み出してくれるものです。ふだんあまり意識しないことですが、生産過程を無視することはできません。家畜の飼育や輸送・と畜について、環境や飼料などに配慮し、なるべくストレスを減らせるよう、工夫する必要があります。
家畜の一生
※体重・月齢・日齢は、およその目安です
(6) 豊かな森と水の恵みを大切にする取り組みを応援します。
① 森林の減少はあらゆる環境問題とつながっています。水の供給源であり、CO2の貯留庫でもあります。豊富な資源を持つ森林を未来につなげるために、国内および世界の森林保護・保全の取り組みを応援します。
② 販売または事業で使用する紙製品や木製製品・資材、木質バイオマス発電の原料等は、保全管理されている森林から原料となる木材を調達しているかどうか、確認等に努めます。
③ FSC®(Forest Stewardship Council®)認証商品の開発と利用に取り組みます。
責任ある森林管理をしている林業者を支援し、世界の森林保全貢献につながる木材製品です。
④ RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)持続可能なパーム油のための円卓会議の基準に従って認証されたパーム油の利用を進めます。
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2.食品ロスの削減
(1) もったいないを合言葉に、無駄をなくす取り組みをすすめます。
① 物流センターなどで発生する余剰品、賞味期限が間近になった商品は、「訳あり販売」やフードバンクへの寄贈で有効活用します。
② 食品残さの再利用(資料・肥料・エネルギー)を進めます。
③ 台風など天候の被害を受けた野菜・果実や豊作による余剰品の販売を行います。
④ 家庭でも、適量購入、食材の無駄のない利用などを工夫します。
⑤ 日付けの新しいものから選ぶ消費者の行動も問題です。消費期限・賞味期限の意味について理解を進め、食品ロスを減らす行動を広げます。
賞味期間180日以上の商品について、1/2ルールで運用する取り組みを始めました。納品期限を緩和することで、食品ロスの削減につなげています。
3.容器包装の使用量削減、再生可能資源の活用
(1) 3Rで容器包装の使用量削減を進めます。
① Reduce(リデュース)使用量削減:
商品の輸送・保管・販売のために使っているプラスチックを削減します。また、レジ袋の削減も進めます。② Reuse(リユース)くり返し利用:
洗剤などの詰め替えで容器を再使用します。③ Recycle(リサイクル)再資源化・再生:
牛乳パックやトレイなどを回収し、リサイクルします。回収プラスチックを再生して容器包装として活用します。捨てれば‘ごみ’、分ければ‘資源’
(2) Renewable(リニューアブル)再生可能資源の活用を進めます。
とうもろこしやサトウキビなどの植物からできる原料を使ったプラスチックの包材の開発を進めます。
石油資源の利用抑制につながるほか、焼却処分した場合に発生するCO2は植物の成長過程で吸収されたものなので、CO2が増えることにはなりません。
(3)エコマーク商品の開発と品ぞろえを進めます。
生産から廃棄を通して環境負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品です。
コープ商品はカーボンフットプリントの認証取得に取り組んでいます。
カーボンフットプリント
商品の原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでの全体を通して排出される温室効果ガス排出量をCO2に換算して、わかりやすく表示。 -
Ⅱ 省エネルギーと再生可能エネルギーの活用を推進し、地球温暖化防止に貢献します
1.2030年までにコープデリグループ全体でCO2排出量を40%削減します(基準年2013年)
(1) 事業で使用するエネルギーの削減
① 店舗、宅配センター、物流・生産施設などに、効率の良い照明や省電力タイプの機器を積極的に導入し、省エネルギーを進めます。
② 店舗、宅配センター、物流・生産施設などに、太陽光発電装置を設置して発電し、外部からの電力購入を減らします。
③ 宅配配達コースの効率化や車両の小型化、低燃費車両への切り替えや省エネ走行支援技術の活用により車両の燃料使用量を削減します。
(2) 事業で使用するエネルギーの低炭素化
① 太陽光発電、バイオマス発電、小水力発電、風力発電など再生可能エネルギーの創出・安定調達に取り組み、事業で使用する電気のCO2排出係数を削減します。
② 産直産地などでの再生可能エネルギー電気の創出を応援し、発電された電気を生協事業や組合員への供給に利用します。
③ 宅配・物流車両を電気自動車などへ切り替える検討・準備を進めます。
2.くらしの中での省エネと再生可能エネルギーの利用を広げます
(1) くらしの中でエネルギー使用のムダを減らし、効率良く使用する工夫を進めます。
(2) くらしに不可欠な電気・都市ガスなどのエネルギーの供給のしくみや、「賢い(スマートな)」選択・利用についての学びを広げます。
(3) 電気供給事業を通じて、再生可能エネルギーを普及するとともに、電源構成やCO2排出係数など、供給する電気に関する情報を分かりやすく開示し、組合員が電気を選べる環境づくりに貢献します。家庭におけるエネルギー使用の「見える化」と家庭での省エネを支援します。
3.原子力発電に頼らない、再生可能エネルギーを広げるエネルギー政策を求めていきます
2011年3月の東日本大震災に伴う、福島第一原子力発電所の事故は、日本の電力とエネルギー政策のあり方に根本的な見直しを迫りました。
コープデリ連合会は持続可能な社会を目指すため、政府のエネルギー政策が、原子力に頼らない方向に転換していくことを求めていきます。(1) エネルギー政策転換の基本方向 ~以下を国に求めていきます。
① 従来のエネルギー政策の3視点(安定性の確保、環境への適合、市場原理の活用)に加え、安全性の確保、国民の参加の視点を入れること。
② 安全性の確保はエネルギー供給の大前提であり、リスクの把握と管理、情報公開とリスクコミュニケーションを進めること。
③ 国民が主体的にエネルギー問題の取り組みに参加できるようにすること。
(2) 5つの重点課題
① 原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換
② 省エネルギーによる使用電気量の大幅削減
③ 再生可能エネルギーの急速拡大
④ 天然ガス火力発電へのシフト(CO2排出量の削減に有効な、天然ガス火力へシフトさせること)
⑤ 電力・原子力にかかわる制度改革
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いま地球で起きているさまざまな環境問題を身近にとらえ、一人ひとり何ができるかを考えることが地球の未来につながります。
組合員と一緒に「CO2排出量」「プラスチックごみ」「食品ロス」を減らす取り組みをすすめています。